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アップルパイたべてげんきになぁれ
08/01/23 (水) 23:10

茂市久美子「アップルパイたべてげんきになぁれ」国土社
満足度:★★★★
元気のない友達のために元気になるリンゴでアップルパイを作ろう。ゆうたろうは町のケーキ屋さんで味見をして歩き、一番美味しかったお店のおじいさんにアップルパイ作りをお願いすることに・・・。
アップルパイの味と匂いだけで十分幸せな気持ちになれそうですが、元気になるリンゴとゆうたろうの魔法が加わったら、元気もりもりになること間違いなしですね。おじいさんの悩みまで解消されて、アップルパイのように全てがまあるく収まりました。温かくてとっても可愛らしいお話です。
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クラブ・ポワブリエール
08/01/10 (木) 23:04

森福都「クラブ・ポワブリエール」徳間文庫
満足度:★★★
大野拓也が帰宅すると、妻・流子の姿はなく、慌ただしく出掛けた痕跡が。流子の外出の理由や行き先を知る手掛かりは、彼女がメーリングリストで配布した小話シリーズの中にあるらしい。
メーリングリスト「クラブ・ポワブリエール」の参加者は、流子の大学時代の友人たち。彼らが体験した出来事を綴った短編小説が問題の小話シリーズで、ミステリ仕立ての物語には流子も探偵役として登場しています。5つの小話を通して読むと面白いことが分かるらしく、それが流子の外出の理由に繋がっている――つまり、作中作から手掛かりを得ることで、もう一つ謎が解けるタイプの連作短編です。
短編一つ一つは小粒ながらもヴァリエーションに富み、結構楽しめました。ところが、メインの謎がいまひとつ。伏線も「面白いこと」も物足りなかったです。拓也が小話以外の情報を得てどうにか真相に辿り着いたことなど、作者自ら伏線の弱さを実証しているかのようですしねぇ。
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琥珀枕
08/01/09 (水) 16:46

森福都「琥珀枕」光文社文庫
満足度:★★★
東海郡藍陵県県令の息子・趙昭之は、師である徐庚先生と共に山の中腹にある遠見亭から人々の暮らしぶりを眺めることで、世間を学んでいる。そんな師弟が見聞きした七つの事件。
「太清丹」「飢渇」「唾壺」「妬忌津」での徐庚先生と昭之は単なる傍観者、「琥珀枕」「双犀犬」は回想、「明鏡井」でようやく昭之が当事者となります。
色や欲、人間のどろどろした部分が次々と、ですから、社会勉強とはいえ12歳の少年には刺激が強いのでは~?と心配になってしまいました。勉強どころか人間不信になりそう。
作者は7編を通して昭之の成長を描きたかったんでしょう。しかし、スタート時点の昭之の実力が不明、というか最初から聡明な子に見えたので、どの程度成長したのか判断しにくかったです。昭之の父も繊細でひ弱な息子を心配するなら、武術の師匠にでも弟子入りさせればいいものを、年を経たすっぽんの化身を選ぶ理由がなんとなくしっくりきません。
「妬忌津」で探偵役を務める異色コンビは、設定が面白いのでこれ1編でお払い箱というのは勿体無いですね。彼らがこれまで行ってきた妖怪退治の話をもっと聞いてみたいものです。
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きつねのはなし
07/01/14 (日) 12:10

森見登美彦「きつねのはなし」新潮社
満足度:★★★★★
4編からなる幻想怪奇譚。
「きつねのはなし」……狐面の男との悪夢の取引
「果実の中の龍」……話し上手な先輩の秘密
「魔」……夜道で人を襲う者の正体とは?
「水神」……祖父の通夜での出来事
各編とも不思議~な物語で、部分的に謎の解明はなされるものの、全てが明らかにされるわけではありません。謎が残されれば、あれやこれやと考えたくなるというもの。私は1編読了するごとに頭の中を整理するという読み方をしていたのですが、それによってそこはかとなく漂ってくる妖しい雰囲気をじっくり味わうこととなったのです。すっかり作者の思う壺ですね。
独立した短編としても楽しめますが、全体を通しての繋がりを考えながら読むと妖しさ倍増。4編とも、語り手が「学生」、舞台は「京都」、「狐(に似たケモノ)」という共通項によって繋がっています。さらには、様々なキーワードによって、各編が互いに微妙な繋がりも持っているのです。要となるのは「果実の中の龍」だと思うのですが、これが曲者。「果実の中の龍」の顛末を知ってるばかりに、続く「魔」と「水神」を読みながら悩む羽目になりました。蜃気楼のような不確かさに、幻惑されてしまったのです。緻密に計算して本書を書いた作者にまんまと嵌められ、まさに狐に抓まれた気分。
ちなみに、他との繋がりを考えず、物語として一番楽しめたのは「果実の中の龍」でした。先輩の話はどれも面白そうで、実際に語る姿を見てみたい。そして何よりも興味があるのは、シルクロード旅日記。これで本を1冊作って欲しいなぁ。
ものすごく印象に残ったのは酒粕を焼いて食べるシーン(妖しくもなんともない、ってか結局食い気かよ)。酒粕といえば粕汁くらいしか思い浮かばず、焼いて食べるとは初耳でした。美味しそうだし身体もあったまりそうなので食べてみたーい。でも、家の中が酒粕臭くなりそう(^^ゞ
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青春俳句講座 初桜
06/07/25 (火) 17:35

水原佐保「青春俳句講座 初桜」角川書店
評価:★★★★★
信州は小諸市を舞台に、女子高生・水原さとみと美貌の青年俳人・綾小路花鳥が解き明かす日常の謎。第9回角川学園小説大賞優秀賞受賞作。
帯の「米澤穂信氏を輩出した角川学園小説大賞受賞者」という文句とあらすじ、そして初々しい女子高生のイラストが描かれた表紙が気に入って、衝動買いした作品です。これが期待していた以上に面白くて、良い買い物をしたなぁとほくほくです。
現代を代表する若手俳人・綾小路花鳥が主宰の俳誌『翌檜』の門下生であるさとみは、高校の卒業式までに句集を上梓することを目標としています。そんなさとみの周辺で起きた不思議な出来事について、花鳥先生が謎解きをしてくれる、というのがこの話の核です。喩えるなら、北村薫氏の円紫師匠と私シリーズみたいな感じですね。単に謎解きをするのではなく、さとみ自身にも考えさせ、教え諭すような雰囲気がツボでした。花鳥先生はいつも和服で、ちぃっとばかし老成したところが渋くていいんですよねぇ。おまけにメガネくんで美形! もう、たまりませんわっ♪(何が?)
さとみと花鳥先生だけのシーンはちょっと地味(その静けさも味わいがあって好き)なんですが、他の門下生たちは老若男女、個性豊かでユニークな面々揃いで、彼らが登場すると途端に賑やかになります。存在感があって花鳥先生とは対照的な木馬和尚と、良きお姉さんという感じの森波さんがいい味出してます。
ミステリとしては、正直突っ込みたいところがいくつかあるのでもう一息。でも、謎を生んだ張本人たちが皆憎めない良い人たちなので読後感は爽やか。何より四季の移ろいや日本語が美しい。そして花鳥先生の心が豊かになる薀蓄。これらがマイナス部分を補って余りあるのです。私は度々登場する「心に栞る」という表現がすっかり気に入ってしまいました。「ふたりごころ」というのも心に留めておきたい言葉です。「だむだむだむ(足音)」「すき焼きがげらげら煮えている」などオノマトペの使い方も楽しい。
「青春俳句講座」というだけあって、勿論俳句の勉強にもなります。言いたいことをたった十七文字で表現するだけでも難しいのに、季語やら切字やら様々な決まりごとがあるので、どうもとっつきにくいイメージのある俳句ですが、テクニックよりも大切なことが懇切丁寧に解説してあり、俳句が少し身近に感じられそうです。
自分の内側に思わぬ言葉があるのに気づく。作句はその連続だ。(P.64)
なんていいですよね。自分でも気づいてない自分や新たな可能性を発見するみたいで。
舞台となった小諸という町にも興味を持ちました。懐古園にも行ってみたいし、信州蕎麦も食べたい。
「桜」「菫」「雛祭」と春らしい3編を収録。続編も出そうな予感がします。だとしたら、夏、秋、冬、と季節ごとに出るようになるのでしょうか。花鳥先生に何があったのかも気になります。そして、さとみの卒業式、つまり処女句集が完成する時が今から非常に楽しみです。
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銀の犬
06/06/30 (金) 01:12

光原百合「銀の犬」角川春樹事務所
評価:★★★★★
行く先々で迷える魂を解き放ち行くべき場所へと送る、祓いの楽人(バルド)オシアンとその相棒ブラン。作者によって新たな息吹が吹き込まれた、現代版ケルトの物語。
新作はケルト神話がモチーフだとお聞きして以来、刊行される日を首を長~くして待っていました。漸く手にすることができて嬉し~い(^^)
妖精が沢山登場していたり、テイル・ナ・ノグやオシアンの名が見えることから、ケルト神話の中でも「フィアナ伝説」の雰囲気が強く感じられ、そこに「祓いの楽人」を配したことにより新たな側面が広がっていきます。登場人物には神話と関係のある名前がちらほら。それぞれのモデルは、ダグダ神の娘・ブリジット、「クランの猛犬」クー・フリン、悲劇のヒロイン・ディアドラ、フィアナ騎士団長のフィン・マックール、フィンの息子・オシアン、ですよね?(多分)
ケルト神話におけるフィンとディアドラが登場する時代は離れてるんですが、言われてみればどちらも似たようなエピソードを持ってましたね。二つのエピソードをアレンジしつつ、違和感なく巧みに料理されていました。ディアドラってケルト版ヘレネって感じであまり好きじゃないんですが、本書のディアドラには好感持てます。
祓いの楽人であるオシアンの使命は、あるべき様から外れたものをあるべき様に戻すこと。5篇全てに共通していたのは「悲恋」でした。複雑に絡み合う感情で自らを雁字搦めにし、周りが見えなくなってしまった人たち。一番苦しんでいるのは当人たちのはずなので、悪と決めつけることはできないんですよね。それを知ってか、オシアンは決して魂を砕くようなことはしません。竪琴を爪弾き、根気強く心を開こうとする彼の姿に心を打たれます。困った人たちではあるけれど、不器用な愛し方しか出来ない彼らがかえって愛しいと思えてくるから不思議。これも祓いの楽人の能力がなせる業? 竪琴か言葉かの違いはありますが、オシアンには「時計を忘れて森へいこう」の護さんと通じるものを感じました。
オシアンが無口で表情もあまり変化がなさそうなのに対し、非常に表情豊かなブラン。時々暴走しかけてオシアンに止められるブラン、可愛いですね。オシアンは謎めいた存在で、時々ふっと消えてしまうように感じることがあります。相棒のブランはオシアンの通訳係(と聞き込み係)であるとともに、人間社会にオシアンを繋ぎ止めておくための錨のような存在なのでは? とにかく、オシアンとブランは本当に息の合った良いコンビでした。また、ブランとヒュー、少年たちの間で交わされるやりとりも楽しい。二人とも悪戯好きな妖精みたいです。
この物語はシリーズ化されるようなので、オシアンたちの活躍がまた見られるのかと思うとわくわくします。そして、本書では語られなかったこと(裏切り者と言われる理由、楽人にとって大切なものを失った理由、ブランと出会ったきっかけなど)が明らかになる時を楽しみにしています。
そうそう、トールキン的な響きの固有名詞ですが、『金のドラゴン』亭と『癒しの手』でしょうか? もっとあるのかな?
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スポーツドクター
06/06/12 (月) 17:56

松樹剛史「スポーツドクター」集英社文庫
評価:★★★★★
高校最後の大会を前に足を痛めたメンバーの付き添いで、靱矢(うつぼや)スポーツクリニックを訪れたバスケ部キャプテンの夏希。そこで、何故か夏希まで診察室に呼ばれ・・・。
心身共に傷を負ったアスリートを癒すスポーツ専門医師と、その姿に惹かれ押し掛けアルバイトを始めた少女を爽やかに描いた青春小説。
スポーツは健康の維持・増進のために必要である一方で、やり方を間違えれば障害を起こす危険性もあります。私自身も中学時代に部活で肘や腰を痛め、長年悩みの種となっているので、たとえ一流アスリートでなくても、スポーツドクターの必要性を感じずにはいられません。
靱矢スポーツクリニックを訪れる患者たちは、体だけではなく本人の気付かないところで心まで病んでいることが殆ど。柔軟性の高い女子バスケットボール選手の障害、野球少年に多い障害とその背景、女子アスリートに多く見られる摂食障害、そして一流アスリートが陥る罠・・・体の不調が心を蝕み、或いは、心の問題が体の症状となって現れ、悪循環を引き起こしています。クリニックでの診察だけではなく、必要とあらば職員を派遣して、患者の環境までチェックする徹底ぶりに、靱矢医師の誠意と熱意が見て取れました。何時間も待たされた挙句、診察時間がたった3分でお前はウルトラマンかよっと言いたくなる医者や、きちんと患者の話を聞かない医者とは大違い。
普段は穏やかな物腰でちょっと頼りなさそうな靱矢医師ですが、「言うときには、言わなければなりません」という時の彼は、誰よりも強く頼もしい。その姿に心打たれ、共に働いたり、支援したりする人たちの気持ちもよく理解できます。また、時折見せる医者としての見解と患者の意向との間で苦しむ様子に、人間味とリアリティを感じます。
スポーツドクターの仕事ぶりを紹介しましたが、実は本書の主人公は患者からクリニックで働く側となった夏希です。靱矢医師に頼まれて患者たちの環境を調査する彼女に同行するのは、スポーツジムのインストラクター、義陽(よしひ)。(彼は私のお気に入りキャラなのです♪) 普段は無愛想な義陽ですが、夏希といる時だけはちょっと違うらしい。夏希と義陽の関係が非常に爽やかで、ついつい温かく見守ってあげたい!って気になってしまうんですねぇ。そんなところも見所の一つです。
第四章は最も重いテーマにも関わらず、靱矢医師の出番はごく僅か。その分夏希の心の動きが丁寧に綴られています。犯罪ではないけれど、やってはいけないこと。何故それは「悪」なのか。自分に出来る事は何なのか。作者は夏希と一緒に読者にも考えさせようとしているようです。いろんな立場の意見を聞き、揺れ惑い、ついに一つの答えに辿り着き、そして行動。若さゆえのまっすぐさが眩しいくらい。青春だなぁ。
スポーツの功罪というテーマは興味深く、登場人物たちも魅力的だし、読後感がとても清々しい作品でした。もし続編が出るのであれば、是非読みたいですね。
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スカーレット・クロス
05/08/31 (水) 18:08

瑞山いつき「スカーレット・クロス」角川ビーンズ文庫
混ざりものの月 評価:★★★
月闇の救世主 評価:★★★
新月の前夜祭 評価:★★★
隠されし月の誓約 評価:★★★
月牙の命脈 評価:★★★
月窟の黙示録 評価:★★★★
「混ざりものの月」:吸血鬼との≪混ざりもの≫のツキシロは、瀕死の状態だったところを不良神父ギブに助けられ、≪聖なる下僕≫となる契約を結ぶ。
「月闇の救世主」:ギブは友人で同じ祓魔師のレオンと再会するが、些細なことから仲違い。そんな時、レオンに接近する人物が。
「新月の前夜祭」:≪神の子≫と謳われるギブを亡き者にしようとする動きが激しくなってくる。
「隠されし月の誓約」:陰謀により、ギブは殺人事件の重要参考人として囚われの身となってしまう。
「月牙の命脈」:ギブが≪悪魔≫を封じた≪聖櫃≫を開く“鍵”だと近づいてくる者たちが。
「月窟の黙示録」:ギブだけでなくツキシロも“鍵”である可能性が・・・。
うーん・・・趣味に走ってるというか、妄想炸裂というか。下僕、コスプレ、拷問だもの(^^;) ツキシロは主人公の一人であるはずなのに、皆(ギブ、レオン、著者)のおもちゃですね。健気に主人を慕う彼女なのですが、あまり主人公としての魅力は感じません。もし私が男でツキシロが周りをうろちょろしてたら、可愛いと思う前にウザいって思ってしまいそう。でも、虐め甲斐がありそうなので、ギブの気持ちがちょっと分かるかも~(←人でなし) もう一人の主人公・ギブ神父は凄腕の祓魔師でイイ男らしいけど、こちらも不思議と惹かれません。私には主人公二人より脇役たちのほうがずっと興味深く感じられました。ギブの親友・レオン神父、ギブとレオンの兄弟子・フィロフェイ神父、ギブたちの師匠・ビル司祭、元暗殺者のフレッド、酒場の女主人・デリラなど。特にビル司祭はいいムードメーカーです。弟子たちに相手にされないとボケた振りをするところが可笑しい(笑) 私のお気に入りは、フィロフェイとランスの主従。素直じゃないフィロフェイですがどこか憎めないし、スケベ揃いの中で一番まともな神父。ランスは口が悪くて下僕らしくないけど、とても主人思い。ツーカーの仲である二人は、シリーズ中最も好きなコンビです。
このシリーズは現時点で6作刊行されてますが、「混ざりものの月」から「隠されし月の誓約」までがファースト・シーズン、「月牙の命脈」以降がセカンド・シーズンとなってます。ファースト・シーズンはありがちなストーリーでしたが、セカンド・シーズンに入ってからは世界観がぐんと広がりました。ギブとツキシロの関係も微妙に変化してきてるし、面白くなりつつあります。
ヴァンパイアものとしては、宗教と絡めたことで雰囲気も出ていて、アクションもそこそこ楽しめます。後は主人公たちの葛藤に共感できるかどうか、ですね。でも、≪混ざりもの≫だらけってのもどうなんでしょう。特殊な設定は数が少ない方が効果的だと思うのですが。それから、ヴァンパイアもので丸眼鏡の神父というと、どうしても「トリ・ブラ」を連想してしまうんです。同じ角川なんだからもう少し配慮があっても良さそうなもの。
読むたびに感じることですが、キャラクター紹介と一緒にこの世界の地図も載せて欲しいなぁ。
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人魚亭夢物語
05/08/30 (火) 22:54

村山早紀「人魚亭夢物語」小峰書店
評価:★★★★
小学4年生の弥子は異次元やUFOなど不思議なことを信じたいのだが、そんなことを信じてるのは子供かばかだと友達に言われてしまう。しかし、弥子は不思議な体験――かくし財宝の噂、伝説の怪盗との遭遇、遠い昔の絆と約束――をすることになる。
舞台は伝説が息づく街・風早市。“人魚亭”というのは、この街の繁華街にある喫茶店です。マスターの真波さんは、「いらっしゃいませ」ではなく「お帰りなさい」と言ってお客さんたち迎えてくれる、あったかくてちょっぴり不思議な女性なんです。日替わりメニューの“本日のお茶”が楽しみで、近くにあったら毎日でも通ってしまいそう。
怪盗“銀ぎつね”さんは、スマートで、紳士で、もう怪盗紳士という言葉がぴったり! でも、真波さんとの関係って・・・? 悪の秘密組織“黒犬団”は結構おまぬけで、噂ほど悪くなさそうなところがご愛嬌(笑) かくし財宝の有無は気になりますが、そっとしておいたほうが夢があって良いのかもしれません。
怪盗や財宝が出てくるのでわくわくして楽しそうな話かと思いきや、単純な冒険ものではありませんでした。読者(子供)の興味を惹く冒険の中に、人々の哀しみの歴史を織り交ぜてあるのです。あまりストレートに語られると身構えてしまいますが、冒険ファンタジーと結びつけることによって、重い話になり過ぎず、すんなり受け入れられるようになっています。そして、『遠い昔の絆と約束』が希望を持たせてくれるのです。
そういえば、「ささやかな魔法の物語」に出てくる“カフェ・かもめ亭”も風早にあるんでしたっけ。ステキな喫茶店が沢山あるなんて風早に住みたいなぁ。風早街シリーズは他にもあるようなので、ぜひ読んでみたいですね。
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翔佯の花嫁 片月放浪
05/08/05 (金) 00:02

森崎朝香「翔佯の花嫁 片月放浪」講談社X文庫ホワイトハート
評価:★★★★
二代目閃王・巴翔鳳は瓔国公主・香月を正妃に迎える。この婚姻によって、閃・瓔両国の間に同盟が成立。だが、香月にとっては、ある目的を果たすための輿入れだった。
「雄飛の花嫁」と同じ閃国が舞台で、初代閃王・巴飛鷹と珠枝の孫、巴翔鳳の代となってます。王と他国の公主との政略結婚。また同じパターンが続くのか・・・と思って読んでると、徐々に違った側面が見えてきました。包容力があった飛鷹とは違い、翔鳳は女性には興味がなく、戦に明け暮れるばかり。眼が空ろというか、いつも遠くを見ているような雰囲気がします。それに対し、復讐の念に心を支配されている香月。こんな2人なので、うまくいくはずなどありません。そのくせ、翔鳳は香月の部屋を頻繁に訪れるようになるんですよねぇ。よく分からない夫婦です。が、ある事実が判明したことで納得できました。ただそれが、愛情なのか、はたまた似たような境遇への同情、或いは親近感なのかは微妙なところ。
あまり気持ちが盛り上がらないままラストが近づいた頃、ある事件が・・・。ここに至って漸く翔鳳の人間らしさが感じられ、思わず涙がぽろり。知らず知らずのうちにのめり込んでいたことが判明(^^ゞ
この物語のキーとなるのは、やはり「秘密」ですね。一方は伏線に気付いたので気になっていたことですが、もう片方は全く気付きませんでした。まんまと騙されちゃった。でも、お姐さんの正体はあっさり分かりましたぁ。
「雄飛の花嫁」「天の階」に比べ、今回はあまりにも痛く、そして切なすぎるストーリーでした。次こそはハッピーエンドをお願いしたいところですが、「あとがき」によると難しそうですね。
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