ボトルネック
07/11/10 (土) 15:39 [ 日本人作家(や-わ行) ]
米澤穂信「ボトルネック」新潮社
満足度:★★★
2年前に亡くなった恋人を弔うため、東尋坊を訪れた僕。そこで強い眩暈に襲われ、崖から落ちた・・・はずだったが、気付いたらそこは見慣れた金沢市内の川のほとり。自宅へ戻ってみると見知らぬ人物がいた。
崖から落下した瞬間、主人公・嵯峨野リョウは、自分が存在せず、生まれなかった姉・サキが存在する世界へ来てしまいました。いわゆるパラレルワールドってやつですね。リョウの世界とサキの世界は、似ているようで微妙に異なっています。リョウはサキとの会話や街を歩くことで、自分の世界との「間違い探し」をするのですが、これが精神的にかなりキツい。その違いには直接的間接的にサキが関わっていて、一つ間違いを発見する毎にリョウは己の無力さを目の前に突きつけられるわけです。何よりも辛いのは、死んだはずのノゾミが生きていて、性格まで違ってることでしょうね。アイデンティティをゆるがすには充分過ぎるサキの世界の現実は、高校一年生の少年にとってあまりにも酷。多分、大人でも耐えられる人はいないんじゃないかな。ラストの一文がまた、おろしたての剃刀のようでした。この後のリョウの行動をどう予想するかで、その人の性格が分かりそうですね。
かなりビターな青春小説ですが、不思議と後味の悪さは残りませんでした。
タグ :
ファンタジー・幻想小説
Posted by sa-ki : コメント (0) | トラックバック (0)
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