スコープ少年の不思議な旅

文・巖谷國士 作品・桑原弘明「スコープ少年の不思議な旅」パロル舎

かなーり前に四季さんに教えていただいたんですが、うっかり積読本の山に飲まれて行方不明にさせてしまいました。でも、この度無事発見! また見失う前に読んでしまわなければ。ってことで読みました。そして、読了後の第一声(心の中で、ですが)は「わーん、私のバカバカバカっ(>_<) 買った時にすぐ読んでおけばよかったー」です。

「スコープ」とは、手のひらサイズの合金の箱の中に、部屋や庭などの小さな世界を作り、レンズを通して覗き見るというもの。箱にはいくつか穴があり、ライトの光を入れるようになってるんですが、光を取り込む場所によって同じ景色でも違った顔を見せるという、非常に凝った作品なのです。

巖谷氏の文章をガイドに、作品世界への旅が始まります。いきなり不思議の国へ迷い込んだアリスを追体験。おかげで一瞬のうちに異世界へトリップです。椅子のオブジェなんて爪の上に乗ってしまうような、ちっちゃなちっちゃな箱の中の世界なのに、想像は果てしなく広がっていきます。放っておいたら何時間でも空想世界を旅できそうなくらい。ふと、「壷中の天」という言葉を思い出しました。
あぁ、実物を覗いてみたいなぁ~。

死神の精度 (文春文庫)

伊坂幸太郎「死神の精度」文春文庫

死神たちは、人の死を見定めるためにやってくる。1週間の調査の後、担当部署に可否を報告する。可の場合は死の実行を見届ける。それが死神の仕事。
死神・千葉が出会った対象者6人の1週間。

猫絵十兵衛御伽草紙 1

永尾まる「猫絵十兵衛御伽草紙 一」ねこぱんちコミックス

猫絵師の十兵衛と相棒の猫股ニタが主人公の、大江戸人情(&猫情)怪異譚。
1話目からやられました。飼い主思いの健気な猫にほろりです。第2話の猫股になろうとして、手拭いを被って踊っている(変化の修行のつもりらしい)猫も可愛い。あまりのどじっぷりには笑っちゃうけど、猫股になりたい理由はやっぱり健気。他の話も全て、猫と人との心の絆がメイン。猫はペットではなく家族であり、命の重さは人も猫も一緒。猫好きの心をがしっと鷲掴みな話ばかりでした。
十兵衛とニタの掛け合いも軽妙で楽しかったです。猫と話ができるなんて羨ましいなぁ。人間よりずっと貫禄のあるニタですが、十兵衛の師匠の愛情表現を嫌がってる姿がまた可笑しくって。(実家で飼ってた猫が甥っ子に追いかけられて捕まった時、ニタと全く同じ顔をしてたんですよねぇ)
この猫吉師匠も非常に良い味出してました。モデルは歌川国芳だそうで。本書を読んだ後に国芳の猫絵をネットで見たんですが、すっごい猫好きだったというのが絵から伝わってきました。
第5話でニタの過去が少し明かされますが、十兵衛と出逢って行動を共にするようになった経緯にとても興味があります。

草の輝き

佐伯一麦「草の輝き」集英社

会社を辞めて草木染の道へ進むことを選び、都会から山形へ移り住んだ竹丘柊子の修業の日々。

きいちごだより (日本傑作絵本シリーズ)

古矢一穂・絵 岸田衿子・文「きいちごだより」福音館書店

動物たちが自分の村のきいちごについて手紙を書く、という形式をとって、きいちごの種類を紹介している絵本です。もみじいちご、くさいちご、かじいちご、なわしろいちご、にがいちご、こじきいちご、ばらいちご・・・日本にもこんなにキイチゴ属の植物が自生してたんですねぇ。本州の道端に生えているものも結構あるようですが、へびいちご(これはヘビイチゴ属できいちごの仲間ではありません)しか見た記憶がないんですよねぇ。今まで特に気にして見たこともなかったから、気づいてないだけかもしれませんが。日本だけじゃなく外国のきいちごも少し紹介されています。

本書の特筆すべき点は、何と言ってもリアルかつ実物大で描かれた絵でしょう。花や葉の形、棘の有無、実の色やつき方など、それぞれの特徴が良く分かるように描かれています。
特徴によるの見分け方や性質の一覧表、さらにはゼリーやジャムのレシピまで載っていて、まさにきいちごづくし! こうなるともう単なる絵本ではなく、きいちごの図鑑ですね。図鑑好き、果物好きな私にはたまらない一冊です。この本を持って散歩に出かけたくなりました。

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